過敏性腸症候群は、腹痛、下痢や便秘、ガスやお腹の張りなどの症状が繰り返して起こる慢性的なお腹の病気です。
お腹の病気といっても腸の中に炎症や潰瘍があるために起こるのではなく、腸の動きが機能的に異常になるために起こります。
腸の動きに影響を与えるものは、主に心理的ストレスの場合が多いといわれますが、もちろん原因は一つではありません。
健康な人でも心理的にプレッシャーを受けると、それが腸に伝わって下痢や便秘になる場合がありますが、それは一時的なものです。
ですが、過敏性腸症候群の人は慢性的に繰り返して起こるため、背後に心理的ストレスを抱えていることが多く、それが症状を悪化させているとも言われます。
お医者さんに処方されている薬や食事の改善、運動などいろいろやってみているが中々症状が改善されなく、精神的な負担も感じている場合は心療内科で診てもらうことをおすすめします。
今回は、過敏性腸症候群の症状改善には薬、食事の改善や運動の他に心理療法も効果的な場合があることをご紹介します。
●心理療法とはどんなもの
心理療法というとかた苦しく聞こえますが、別なことばでいうと”カウンセリング”です。
心理療法では心の悩みを聞いて、回復のためのサポートをします。
具体的には、心理的な負担としてどんなことで悩んでいるか、困っているかなどを心療内科の先生に聞いてもらいます。
お医者さんは悩みや困っていることについて、気付いた点や意見の違いがあっても反論しませんので、そのまま聞いてもらえます。
そして、悩みや困ったことに同調してくれ今の考え方をサポートしてくれ、症状は良くなってきますよと保証してくれます。
お医者さんとのこんなやり取りがあると、なぜかホッとしますよね。
以上のようなカウンセリングを通して、ストレスの存在を冷静に見つめ克服していく試みが一般心理療法と呼ばれるものです。
専門的な心理療法としては、集団療法、認知行動療法、対人関係療法、催眠療法、ストレスマネージメント、リラクセーションなどがあります。
次に最初の2つについて、簡単に内容をご説明します。
・集団療法
通常10人前後の同じような悩みを抱える人たちで小集団を作り、メンバーの各々が自分の持っている心の問題を語るとともに、相手の問題にも心を傾けます。
こうすることによって、周りから刺激を受けながら自分を見つめることができ問題解決の糸口を見つけ出す心理療法です。
過敏性腸症候群の悩みを持つ集団では、症状による悩みを語り合い見方や考え方を変え精神的な負担を軽くしたり、集団の中での心のつながりで生き生きとした自分を取り戻すことを目指すことになります。
・認知行動療法
認知療法では、イライラしたり、不安になったり、落ち込んだりするのは認知(考え方やとらえ方)にクセがあるためととらえるのが基本です。
悩みのネタについて、自分が第三者だったらどう考えるのかなどを考えてみます。
そうすると、見方が違ってきて大した問題でもなかったと気付くこともあります。
物事のとらえ方が変わったことで、感じたことややりたいと思ったことを行動に移します。
そして、好ましい行動を増やし好ましくない行動を減らしていきます。
好ましい行動とはやると励みになるようなことや生きがいになるようなことです。
行動を変えてみてその時の気持ちを確認してみて、不安や辛い気持ちが楽になっていれば効果につながるというやり方です。
以上のような心理療法は食事の改善や運動と違って、自分1人ではできません。
胃腸科などにいって薬をもらっているが改善されず、ストレスで精神的に辛い状態が続いている場合は心療内科に相談してみるのもおすすめです。