昔から焼き芋を食べるとガスがよくでるといわれています。
さつまいもの場合は、消化しにくいでんぷんを多く含んでいるので、小腸で分解・吸収できずに大腸まで届いてしまいます。
大腸では善玉菌がエサとして分解するために、ガスも発生しやすくなります。
このため、オナラが出やすくなります!
もう一つの理由はさつまいもには、不溶性食物繊維が多く含まれていることです。
この不溶性食物繊維が腸の中で水分を吸って膨張し、腸の内壁を刺激して腸の動きを活発にするので、善玉菌が分解して作ったガスも直腸の方へ送りだすためガスが多くでるようになります。
焼き芋の例でも分かりますように、ガスの発生は食べ物と関係していることが分かります。
今回は過敏性腸症候群ガス型で悩まれている方のために、ガス、お腹の張りを防ぐ食事の工夫についてご紹介します。
●ガスがでやすい食べ物
お腹の中でガスが発生しやすい食べ物にはどんなものがあるのでしょうか。
・芋類、ごぼう、豆類
冒頭でご紹介したさつまいもの他にごぼうも、食べるとガスが発生しやすくなります。
ごぼうも糖質や食物繊維が豊富なので、大腸まで届くので善玉菌による分解でガスが発生することと食物繊維による刺激で腸の動きがよくなるので、その分ガスが多く発生します。
ここで発生したガスは、善玉菌が糖質を分解してできるガスなので臭いません。
豆類も糖質や食物繊維が多く含まれるので、やはり同様な理由でガスが発生しやすくなります。
ただ豆類には植物性のたんぱく質が含まれているので、腸まで届いたたんぱく質は悪玉菌が分解するため、さつまいもやごぼうなどに比べやや臭いが強くなる場合があります。
・発酵食品
ヨーグルト、納豆、キムチなどの発酵食品を摂ると、腸内細菌の影響や相性との問題でガスが発生しやすくなる場合があります。
・肉類
肉類に含まれる動物性たんぱく質は、消化不良のまま大腸に届きます。
高たんぱく質、高脂肪は悪玉菌の好物なので、これらを分解してインドール、スカトール、硫化水素などのガスを発生させ臭いおならの原因となります。
・炭酸飲料
炭酸が入ったビールや炭酸飲料も、ガスが腸まで送られるとおならやお腹の張りの原因になります。
●発酵食品や食物繊維を多く、肉類を控えめにする
食べ物と腸内細菌との関係からガスが発生してしまいますが、腸内環境が善玉菌が優位であればさつまいものガスのように、腐敗臭はほとんどしません。
このようなガスは健康的なガスともいうことができます。
一方、過敏性腸症候群のガスの臭いは悪臭であることが分かっています。
この臭いがまた、精神面で負担になって症状を悪くしている場合もあります。
過敏性腸症候群の方は腸内細菌のバランスが崩れ、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が減少していることがいままでの研究から分かってきています。
このため、過敏性腸症候群の症状改善には腸内環境を整えて、善玉菌を増やしてやる必要があります。
具体的な方法として、次のようなことをおすすめします。
・発酵食品を摂る
発酵食品には乳酸菌や納豆菌などが含まれているので、これらを体内に取り入れることで免疫細胞が活性化して、腸内環境が改善されていきます。
腸内環境が改善されると乳酸菌やビフィズス菌が増えるため、アンモニアなどの便の腐敗による有害物質を抑えてくれます。
・食物繊維を摂る
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とがありますが、特に水溶性食物繊維は善玉菌のエサともなるので、腸内環境を改善します。
また、便の構成要素ともなり便通を改善します。
水溶性食物繊維は、腸で水分を吸って便の移動をスムーズにし、不溶性食物繊維は便の量を増やし腸の動きを良くします。
ただし、不溶性食物繊維は摂ると症状が悪化する場合もあるので、合わないと感じたら食べるのを控えることが必要です。
・肉類は控えめに
肉類には動物性たんぱく質が多く含まれていて、これが悪玉菌のエサとなって腸内の腐敗を促し腸内環境を悪化させます。
でもたんぱく質は血や肉を作る重要な栄養素なので、食べないとなるとマイナスの影響もでてきます。
魚などを増やし、肉類を控えめにすることが腸内環境の改善につながります。