過敏性腸症候群の症状を改善するには、ストレスを上手に発散してリラックすると同時に腸内環境を整えることが大切です。
腸内環境を整えるためには、乳酸菌やビフィズス菌などが配合された整腸剤と健康食品に属する乳酸菌サプリがありますが、その違いは何なのでしょうか?
今回は、市販されている整腸剤はどんなものかを具体的な商品を例に説明し、整腸剤と乳酸菌サプリの違いはどこにあるのかをご紹介します。
●市販されている整腸剤とはどんなもの
便秘や下痢のときお腹の調子を整えるときに使うのが、整腸剤ということができますが、整腸剤といってもいろいろな成分のものがあります。
整腸剤は効果・効能が明記でき、用途もはっきりしているため違う働きをする成分が配合され、効果を高めているものもあります。
整腸剤を構成する成分には次のようなものがあります。
・消化酵素剤
脂肪やタンパク質、炭水化物などを分解する消化酵素を含むもので胃腸などの消化不良に用いられるものです。
・乳酸菌やビフィズス菌
乳酸菌やビフィズス菌の善玉菌を利用したもので、腸内環境を整える働きがあります。
・生薬
乳酸菌やビフィズス菌と一緒に生薬が配合されているものがあります。
便秘を改善する生薬や腸の過度の動きを止めて下痢を改善する生薬が用いられます。
整腸剤とはどんなものかは、具体的な商品でみた方が分かりやすいので代表的な整腸剤を例に説明します。
●市販されている整腸剤には乳酸菌以外の有効成分も配合
・乳酸菌やビフィズス菌が配合されているもの
<新ビオフェルミンS錠>
新ビオフェルミンSは、ビオフェルミン製薬が販売している指定医薬部外品です。
新ビオフェルミンSには、生菌製剤といって生きた乳酸菌が配合されています。
配合されている乳酸菌は、次の3種類です。
・ビフィズス菌末
・フェカリース菌末
・アシドフィルス菌末
3つの乳酸菌ともヒトの体に常在する菌で、これらがゆっくり腸内環境を整えますので、軟便、便秘の人どちらにも効果が期待できます。
・乳酸菌・ビフィズス菌と消化酵素剤が配合されているもの
<ファスコン整腸錠プラス>
ファスコン整腸錠プラスは、京都薬品ヘルスケアが製造・販売している第3類医薬品です。
有益な腸内細菌であるフェカリス菌、アシドフィルス菌、ビフィズス菌と腸内細菌の増殖を促す納豆菌の4種類の生菌に加え、消化酵素「ビオヂアスターゼ2000」が配合されています。
これらの成分が腸内環境を整え、便通を改善します。
・乳酸菌、生薬、消化酵素剤が配合されているもの
<太田胃酸整腸剤>
太田胃酸整腸剤は、太田胃酸が製造・販売する第3類医薬品です。
ビフィズス菌、ガセリ菌、酪酸菌の3つの整腸生菌に加えて、ゲンノショウコとアカメガシワなどの生薬、さらに消化酵素のビオヂアスターゼ1000が配合されています。
乳酸菌で腸内環境を整えるとともに、生薬により下痢・便秘予防や胃腸機能を高めてくれる効果があります。
以上代表的な整腸剤を例にどんなものかをご紹介しました。
●整腸剤と乳酸菌サプリとの違いはどこにあるの?
整腸剤には前節で紹介した「新ビオフェルミンS錠」のように、主成分は乳酸菌とビフィズス菌で乳酸菌サプリに似ているものもあります。
整腸剤と乳酸菌サプリとの違いはどこにあるのかを、まとめてみました。
・用法
<整腸剤>
整腸剤は医薬品に分類されるもので、効果や効能を表示したり、 摂取方法などを表示することができます。
そのため基本的には、腸に関する症状が出た時に摂取して、改善されれば止めるような使い方をします。
健康維持のために、長期服用することはあまりありません。
<乳酸菌サプリ>
乳酸菌サプリは健康食品に分類されるものなので、効果や効能、摂取方法などは表示されていません。
一般的に腸内環境を整えることによって、便通の改善や免疫機能の向上による副次的効果を期待します。
体質改善のために継続的に長期服用もされます。
・構成する成分
<整腸剤>
整腸剤の種類によっては、乳酸菌やビフィズス菌以外に消化酵素剤や生薬などの薬成分が配合されているものがあります。
腸内環境を整えるだけでなく、ガスの発生た下痢を抑えるなど使用目的に応じて使い分けができます。
<乳酸菌サプリ>
乳酸菌サプリは、薬成分は配合できませんので乳酸菌やビフィズス菌以外にはオリゴ糖や食物繊維、カルシウムなどが配合されています。
善玉菌をより元気にしたり、栄養素の補給のために追加されています。
・自分に合った乳酸菌の選択性
<整腸剤>
整腸剤に使われている乳酸菌やビフィズス菌の種類は、乳酸菌サプリに比べて少ないといえます。
また、配合されている菌数も乳酸菌サプリに比べ少ないようです。
乳酸菌には相性があるので、整腸剤を使ってみて効果が感じられない場合は他の選択肢があまりありません。
<乳酸菌サプリ>
乳酸菌サプリには、たくさんの種類の菌を配合したり、整腸剤には使われていないような菌のものもあります。
また、一度に摂取する乳酸菌の数も1000億個、1兆個などのものがあり効率的に摂取できます。
乳酸菌との相性の問題で、効果のあるものが中々見つからない場合には、選択肢が多いのが特徴です。
・価格
<整腸剤>
乳酸菌サプリに比べて、価格が安いので効果のあるものが見つかればコスパがいいといえます。
<乳酸菌サプリ>
整腸剤に比べると価格が高めですので、継続的に摂取するとなると慎重に選らばなければならないものもあります。